Amazon EC2 インスタンスタイプ

Amazon EC2 インスタンスタイプ

概要

Amazon Elastic Compute Cloud (EC2) は、Amazon Web Services (AWS) が提供する、スケーラブルなコンピューティング能力を提供するサービスです。EC2の核となるのはインスタンスであり、これは仮想サーバーとして機能します。EC2インスタンスは、様々なオペレーティングシステム、ソフトウェア、リソースの構成で利用可能であり、ユーザーのニーズに合わせて柔軟に選択できます。このページでは、Amazon EC2のインスタンスタイプについて、初心者向けに詳細に解説します。

インスタンスタイプの分類

EC2インスタンスタイプは、主に以下のカテゴリに分類されます。

汎用インスタンス (General Purpose): バランスの取れたコンピューティング、メモリ、ストレージリソースを提供し、様々なワークロードに適しています。ウェブサーバー、アプリケーションサーバー、開発環境などに利用されます。
コンピューティング最適化インスタンス (Compute Optimized): 高い処理能力を必要とするワークロードに最適です。ゲームサーバー、バッチ処理、ビデオエンコーディングなどに利用されます。
メモリ最適化インスタンス (Memory Optimized): 大量のメモリを必要とするワークロードに最適です。インメモリデータベース、リアルタイム分析、ハイパフォーマンスコンピューティングなどに利用されます。
ストレージ最適化インスタンス (Storage Optimized): 大量のストレージと高いI/O性能を必要とするワークロードに最適です。NoSQLデータベース、データウェアハウス、ビッグデータ分析などに利用されます。
アクセラレーテッドコンピューティングインスタンス (Accelerated Computing): GPUやFPGAなどのハードウェアアクセラレータを利用して、特定のワークロードのパフォーマンスを向上させます。機械学習、グラフィックス処理、科学計算などに利用されます。

汎用インスタンス

汎用インスタンスは、幅広いワークロードに対応できるため、最も一般的なインスタンスタイプです。代表的なインスタンスタイプには、以下のようなものがあります。

M5シリーズ: 最新世代の汎用インスタンスであり、コストパフォーマンスに優れています。Amazon Machine Image (AMI)との組み合わせで、迅速なデプロイが可能です。
M4シリーズ: M5シリーズの前の世代ですが、依然として広く利用されています。
T3シリーズ: バースト可能なパフォーマンスを提供するインスタンスであり、予測不可能なワークロードに適しています。Auto Scalingと組み合わせることで、需要に応じて自動的にインスタンス数を調整できます。
T2シリーズ: T3シリーズの前の世代ですが、低コストで利用できます。

汎用インスタンスの比較
インスタンスタイプ	vCPU	メモリ (GiB)	ネットワークパフォーマンス (Gbps)	ストレージ (EBS)
M5.large	2	8	2.5	-
M5.xlarge	4	16	2.5	-
T3.medium	2	4	0.5	-
T2.micro	1	1	0.5	-

コンピューティング最適化インスタンス

コンピューティング最適化インスタンスは、高い処理能力を必要とするワークロードに最適です。代表的なインスタンスタイプには、以下のようなものがあります。

C5シリーズ: 最新世代のコンピューティング最適化インスタンスであり、高いパフォーマンスを提供します。Elastic Load Balancingと組み合わせることで、高可用性を実現できます。
C4シリーズ: C5シリーズの前の世代ですが、依然として広く利用されています。

メモリ最適化インスタンス

メモリ最適化インスタンスは、大量のメモリを必要とするワークロードに最適です。代表的なインスタンスタイプには、以下のようなものがあります。

R5シリーズ: 最新世代のメモリ最適化インスタンスであり、高いメモリ帯域幅を提供します。Amazon Relational Database Service (RDS)との連携により、データベースのパフォーマンスを向上させることができます。
R4シリーズ: R5シリーズの前の世代ですが、依然として広く利用されています。

ストレージ最適化インスタンス

ストレージ最適化インスタンスは、大量のストレージと高いI/O性能を必要とするワークロードに最適です。代表的なインスタンスタイプには、以下のようなものがあります。

I3シリーズ: NVMe SSDを搭載しており、高いI/O性能を提供します。Amazon Simple Storage Service (S3)との連携により、大規模なデータセットを効率的に処理できます。
D2シリーズ: 高密度のHDDを搭載しており、低コストで大量のストレージを提供します。

アクセラレーテッドコンピューティングインスタンス

アクセラレーテッドコンピューティングインスタンスは、GPUやFPGAなどのハードウェアアクセラレータを利用して、特定のワークロードのパフォーマンスを向上させます。代表的なインスタンスタイプには、以下のようなものがあります。

P3シリーズ: NVIDIA Tesla V100 GPUを搭載しており、深層学習などの機械学習ワークロードに最適です。
G4シリーズ: NVIDIA T4 GPUを搭載しており、グラフィックス処理やビデオエンコーディングに適しています。
F1シリーズ: Intel FPGAを搭載しており、特定のアプリケーションのパフォーマンスを向上させることができます。

インスタンスサイズの選択

インスタンスタイプを選択する際には、以下の要素を考慮する必要があります。

ワークロードの要件: ワークロードに必要なCPU、メモリ、ストレージ、ネットワーク帯域幅などを明確にします。
コスト: インスタンスタイプによってコストが異なるため、予算に合わせて最適なインスタンスタイプを選択します。AWS Pricing Calculatorを利用すると、コストを予測できます。
パフォーマンス: ワークロードに必要なパフォーマンスを満たすインスタンスタイプを選択します。
可用性: 必要なリージョンで利用可能なインスタンスタイプを選択します。

インスタンスの購入オプション

EC2インスタンスは、以下の購入オプションで利用できます。

オンデマンドインスタンス: 時間単位で課金されるインスタンスであり、柔軟な利用に適しています。
リザーブドインスタンス: 1年または3年の期間で予約することで、割引価格で利用できます。
スポットインスタンス: 余剰のコンピューティング能力を利用することで、大幅な割引価格で利用できますが、中断される可能性があります。EC2 Fleetを利用すると、複数のインスタンスタイプを組み合わせて、コストと可用性のバランスを取ることができます。
Savings Plans: 一定期間、一定金額のコンピューティング利用をコミットすることで、割引価格で利用できます。

ネットワークパフォーマンス

EC2インスタンスのネットワークパフォーマンスは、インスタンスタイプによって異なります。一般的に、最新世代のインスタンスほど高いネットワークパフォーマンスを提供します。Enhanced Networkingを利用することで、ネットワークパフォーマンスをさらに向上させることができます。

ストレージオプション

EC2インスタンスには、以下のストレージオプションがあります。

EBS (Elastic Block Storage): ネットワーク接続されたブロックストレージであり、インスタンスに永続的にデータを保存できます。
インスタンスストア: インスタンスに直接接続されたストレージであり、高速なI/O性能を提供しますが、インスタンスの停止時にデータが失われます。
Amazon S3: オブジェクトストレージであり、大量のデータを低コストで保存できます。

監視と最適化

EC2インスタンスのパフォーマンスを監視し、必要に応じて最適化することが重要です。Amazon CloudWatchを利用すると、CPU使用率、メモリ使用率、ネットワークトラフィックなどのメトリクスを監視できます。AWS Trusted Advisorを利用すると、コスト最適化、セキュリティ、耐障害性などの観点から、改善点を提案してもらえます。

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