MQL4/MQL5

1. MQL4/MQL5

MQL4 (MetaQuotes Language 4) と MQL5 (MetaQuotes Language 5) は、それぞれMetaTrader 4 (MT4) と MetaTrader 5 (MT5) という、世界で最も人気のある外国為替取引プラットフォームで使用されるプログラミング言語です。これらの言語は、自動売買システム（エキスパートアドバイザー、略してEA）、カスタム指標、スクリプト、そしてライブラリを作成するために設計されています。本記事では、これらの言語の基礎から、それぞれの特徴、そしてバイナリーオプション取引への応用まで、初心者向けに詳細に解説します。

MQL4 と MQL5 の概要

MQL4はMetaTrader 4プラットフォームで使用され、2005年にリリースされました。シンプルな構文を持ち、比較的学習しやすいのが特徴です。しかし、機能面ではいくつかの制限があり、マルチスレッド処理や高度なデータ構造を扱うのが難しいという欠点があります。

MQL5はMetaTrader 5プラットフォームで使用され、2010年にリリースされました。MQL4と比較して、より強力で柔軟な言語であり、オブジェクト指向プログラミングをサポートしています。マルチスレッド処理、高度なデータ構造、そしてより洗練された取引戦略の実装が可能です。また、ストラテジーテスターの機能も大幅に向上しています。

MQL4 と MQL5 の比較

特徴	MQL4	MQL5
プラットフォーム	MetaTrader 4	MetaTrader 5
リリース年	2005年	2010年
構文	比較的シンプル	より複雑、オブジェクト指向
マルチスレッド	非対応	対応
データ構造	制限あり	高度なデータ構造をサポート
ストラテジーテスター	制限あり	高度な機能
速度	遅い	速い

MQL4 の基礎

MQL4はC言語に似た構文を持ち、初心者でも比較的理解しやすい構造になっています。基本的な構成要素は以下の通りです。

• 変数：データを格納するための場所です。整数型（int）、浮動小数点型（double）、文字列型（string）などがあります。
• データ型：変数が格納できるデータの種類を定義します。
• 演算子：数学的な計算や比較を行うための記号です。
• 関数：特定の処理をまとめたものです。
• 制御構造：プログラムの実行順序を制御するための構文です。if文、for文、while文などがあります。

MQL4で簡単な例を見てみましょう。

```mql4 int start() {

 double price = Ask;
 Print("現在の価格: ", price);
 return(0);

} ```

このコードは、現在の価格（Ask）を取得し、コンソールに表示するものです。

MQL5 の基礎

MQL5はMQL4を基に開発されましたが、より洗練された機能と構文を持っています。オブジェクト指向プログラミングをサポートしており、クラス、オブジェクト、継承などの概念を使用できます。

MQL5の基本的な構成要素は以下の通りです。

• クラス：データとメソッドをまとめたものです。
• オブジェクト：クラスのインスタンスです。
• メソッド：クラス内の関数です。
• プロパティ：クラス内の変数です。
• イベントハンドラ：特定のイベントが発生したときに実行される関数です。

MQL5で簡単な例を見てみましょう。

```mql5 class CMyClass {

public:
 double m_price;
 void SetPrice(double price) {
   m_price = price;
 }
 double GetPrice() {
   return m_price;
 }

};

void OnTick() {

 CMyClass myObject;
 myObject.SetPrice(Ask);
 Print("現在の価格: ", myObject.GetPrice());

} ```

このコードは、価格を格納するためのクラスを作成し、現在の価格（Ask）を取得して表示するものです。

エキスパートアドバイザー (EA) の作成

エキスパートアドバイザー（EA）は、あらかじめ設定されたルールに基づいて自動的に取引を行うプログラムです。MQL4またはMQL5を使用してEAを作成することで、24時間体制で取引を行うことができ、人間の感情に左右されることなく客観的に取引を行うことができます。

EAを作成する際には、以下の点を考慮する必要があります。

• 取引戦略：どのような条件で取引を行うかを明確に定義する必要があります。移動平均線、RSI、MACDなどのテクニカル指標を使用したり、プライスアクションに基づいて判断したりすることができます。
• リスク管理：損失を最小限に抑えるためのルールを設定する必要があります。ストップロス、テイクプロフィット、ポジションサイズなどを適切に設定することが重要です。
• 資金管理：口座残高に対して適切なポジションサイズを設定する必要があります。
• バックテスト：過去のデータを使用してEAの性能を検証する必要があります。ストラテジーテスターを使用して、EAの収益性、リスク、そして安定性を評価することができます。

カスタム指標の作成

カスタム指標は、標準のテクニカル指標に加えて、独自の計算式に基づいて価格の動きを分析するためのツールです。MQL4またはMQL5を使用してカスタム指標を作成することで、独自の取引戦略を開発することができます。

カスタム指標を作成する際には、以下の点を考慮する必要があります。

• 計算式：どのような計算式に基づいて指標を算出するかを明確に定義する必要があります。
• パラメータ：指標の計算に使用するパラメータを調整できるようにする必要があります。
• 表示方法：指標をどのようにチャートに表示するかを決定する必要があります。

スクリプトの作成

スクリプトは、特定のタスクを一度だけ実行するプログラムです。MQL4またはMQL5を使用してスクリプトを作成することで、口座情報を取得したり、注文履歴を分析したり、チャートをカスタマイズしたりすることができます。

ライブラリの作成

ライブラリは、再利用可能なコードをまとめたものです。MQL4またはMQL5を使用してライブラリを作成することで、複数のEAやカスタム指標で同じコードを共有することができます。

バイナリーオプション取引への応用

MQL4/MQL5は、バイナリーオプション取引にも応用できます。例えば、特定の条件が満たされた場合に自動的にバイナリーオプションの取引を行うEAを作成することができます。

バイナリーオプション取引にEAを応用する際には、以下の点を考慮する必要があります。

• ペイアウト：バイナリーオプションのペイアウトは固定されているため、EAの収益性はペイアウトと勝率に大きく依存します。
• 満期時間：バイナリーオプションの満期時間は短いものが多いため、EAは迅速に判断し、取引を実行する必要があります。
• ブローカー：バイナリーオプションのブローカーによっては、EAの使用が制限されている場合があります。

Ichimoku Kinko Hyo、Bollinger Bands、Fibonacci Retracement、Elliott Wave Theory、Candlestick Patternsなどのテクニカル分析をMQL4/MQL5で実装することで、より洗練されたバイナリーオプション取引戦略を構築できます。また、出来高や板情報を分析することで、より正確な予測を行うことができます。相関係数を利用して複数の通貨ペアを組み合わせた戦略も有効です。

MQL4/MQL5 の学習リソース

MQL4/MQL5を学習するためのリソースは数多く存在します。

• MetaQuotes Language Reference：公式のリファレンスです。
• MQL4.com：MQL4に関する情報が豊富に掲載されています。
• MQL5.com：MQL5に関する情報が豊富に掲載されています。
• オンラインコース：UdemyやCourseraなどのオンライン学習プラットフォームで、MQL4/MQL5に関するコースを受講することができます。
• 書籍：MQL4/MQL5に関する書籍も多数出版されています。

まとめ

MQL4とMQL5は、MetaTraderプラットフォーム上で自動売買システムやカスタム指標を作成するための強力なツールです。これらの言語を習得することで、独自の取引戦略を開発し、自動的に取引を行うことができます。バイナリーオプション取引においても、MQL4/MQL5を活用することで、より効率的で収益性の高い取引を行うことが可能になります。

自動売買、テクニカル分析、リスク管理、資金管理、ストラテジーテスター、移動平均線、RSI、MACD、プライスアクション、Ichimoku Kinko Hyo、Bollinger Bands、Fibonacci Retracement、Elliott Wave Theory、Candlestick Patterns、出来高、板情報、相関係数、外国為替取引、MetaTrader 4、MetaTrader 5

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